多機能型事業所WANの取り組み(令和7年度経営力・工賃向上コンサルティング事業)
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「攻め」の接客でマルシェ売上が大幅アップ!成功体験が組織全体を活性化
令和7年度に県の「経営力・工賃向上コンサルティング事業」を受講された『多機能型事業所WAN』さんをご紹介します。
【事業所の概要を教えてください】
佐賀市鍋島町にある「多機能型事業所WAN」は、社会福祉法人あんず鍋島が運営する多機能型事業所です。就労継続支援A型とB型を併設しており、母体の安定した経営基盤と、職員の温かい人柄による丁寧な支援が強みです。
今回の支援対象であるB型では、企業からの受託作業(軽作業)と、スマホチェーンなどのクラフト製品(手作りアクセサリー)の製造・販売を主軸としています。利用者一人ひとりのペースを尊重しつつ、工賃向上と社会参加の促進を目指しています。
【本事業に取り組む前に感じていた課題はありましたか?】
B型の生産活動は内職などの受託業務が中心でしたが、作業単価が低く、利用者の工賃を十分に上げられないことが大きな課題でした。
独自のクラフト製品も製作していましたが、販路は院内や事務所の簡易展示が中心で、売上は月1万円程度にとどまっていました。商品はトレンドを押さえていましたが、ターゲットへの訴求が弱いディスプレイだったりと、販売ノウハウが不足していました。
「良いものを作っているのに売れない」という悩みの一方で、受託作業についても価格交渉の根拠や方法が分からず、収益構造を変えられないまま現状維持が続いていました。
【本事業ではどのような取り組みを行いましたか?】
コンサルタントと共に、「クラフト販売の強化」と「受託単価の適正化」に取り組みました。クラフト販売では、県庁や大型商業施設でのマルシェ出店に向け、「売上10万円」という高い目標を掲げました。
目標達成のため、商品の製作風景を伝えるPR動画の作成や、通行人の足を止める手持ち看板・チラシの準備、さらには積極的な声掛け(キャッチ)の導入など、従来の「待ち」の姿勢を打破する「攻め」の販売戦略を計画・実行しました。
【取り組みを行う中で変化したことはありますか?】
最大の成果は、職員と利用者が「売るための工夫」の重要性を肌で感じたことです。以前のマルシェでは商品が1つしか売れない苦い経験もありましたが、今回は動画やPOPを活用した演出により、県庁マルシェで17200円、ゆめタウンマルシェでは1日目27200円、2日目48600円を達成し、「工夫次第で結果は変わる」という大きな自信を得ることができました。
また、この前向きな変化は事業所全体に波及しました。先進的な事業所への見学を機に、A型でも朝会の改善や業務のランク分けが始まるなど、組織全体が活性化しました。受託業務についても、利用者の得意に合わせた新規開拓(シュレッダー業務等)へ動き出すなど、収益とやりがいを追求する「自走する組織」へと変革が進んでいます。価格転嫁についても他社事例を学び、適正な対価を得るための交渉準備が整うなど、経営視点が現場に浸透し始めたと感じています。
【本事業に参加された感想・ご意見を教えてください】
今回参加させていただき、新たな知見を得ることができました。自事業所では、クラフト作成・販売と内職単価向上の2点に取り組みました。販売については、土日のマルシェ参加により、通常時の約2倍の成果になりました。
一方で、内職単価を上げる難しさも痛感しました。コンサルタントの伴走により売上目標への意識づけが進み、目標に近づく成果を上げることができました。福祉出身の職員が多い中、販売方法や価格設定について助言をいただき、職員全体の知見向上にもつながったと感じております。
<経営力・工賃向上コンサルティング事業とは>
障害福祉サービス事業所等で働く障害のある方の工賃収入の向上を目的として県が実施している事業です。
工賃収入の安定確保や向上に取り組む就労継続支援B型事業所等を対象に、専門家を派遣し、経営面のアドバイスや技術指導、商品・サービスの価値向上などの支援を行っています。